高齢者の転倒は「老年症候群」の一つとして捉えられています。また、体の衰えなども相まって、一度転んだら大腿骨骨折や手首骨折、圧迫骨折などのリスクを負うことも、介護職なら常識のことでしょう。そのため、転倒したときの対策はもちろんですが転倒予防も重要なのです。
高齢者が転倒する要因としては、下半身の筋力の低下が一番に挙げられます。また、昼夜逆転の生活パターンが定着し、日中傾眠傾向にあることも考えられます。このほか、トイレで排泄中にバランスを崩して起こる転倒も要因の一つです。
高齢者の場合、慢性疾患の治療のために服薬していることも少なくありません。この薬がふらつきを招く可能性もあるので、注意が必要です。特に服薬回数や用法を間違うと転倒につながることも考えられるので、利用者の既往症や服薬の有無などは必ず確認しなければなりません。
夜に眠れるように睡眠導入剤を服用している場合や、高血圧の治療薬を服用している高齢者も、用法や容量を誤るとふらつきが発生することがあります。糖尿病で血糖値のコントロールがうまく行かない場合も同様です。もちろんこれらの薬以外でも同様にふらつきや卒倒のリスクがあるので、注意深く見守る必要があるでしょう。
中でも、ポリファーマシー(害をもたらす多剤併用)による副作用も懸念されます。7種類以上の薬を処方されている高齢者などは、看護師や薬剤師などに相談をしながら注意深く行動を見守ることが大切です。利用者の家族とも情報を共有し、転倒リスクを減らすための工夫を取り入れましょう。